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支払明細書とは?請求書との違いや書き方

1,支払明細書とはどういうものか

 支払明細書とは、取引の代金のやりとりを行う際に取引内容と金額を確認するために発行する文書です。支払通知書などとも呼ばれ、一般的に支払う側が発行します。

 支払明細書には、取引代金の内訳について、いつ・どこで行った取引において発生した支払いなのか、支払い対象の企業や取引内容などといった詳しい内容を記載します。

 

 支払明細書は、(給与明細等を除き)法律で作成・提出の義務や、形式が規定されているわけではなく、必要に応じて作成する書類ですが、実務上広く使われています。

 支払明細書は、取引の内容に相違がないことを確認するために発行する書類であり、取引内容を証明する書類である証憑書類です。

 

2、支払明細書の種類

 支払明細書には下記のようにさまざまな種類があります。

 

  • 業務委託の報酬

 自社業務の一部を外部に委託する場合があります。その際、支払証明書を発行することが広く行われています。支払う報酬の内訳や具体的な金額を記載することによって、業務委託に関するトラブルを防ぐのが支払明細書の目的です。

  • 給与や賞与に関する支払明細書

 会社が従業員に給与・賞与を支払う際に支払明細書が発行されます。この明細書は、「給与明細書」や「給与支払明細書」と呼ばれますが、いずれも支払明細書の一種です。

 給与や賞与に関する支払明細書には、雇用契約における給与や賞与の内訳金額(支給項目・控除項目・差引支給額)と、給与計算の根拠となる勤怠情報も記載されます。

 

  • 退職金に関する支払明細書
     退職金も給与や賞与と同じように支払われる金額や計算過程の明示が求められます。そのため、ほとんどの場合、退職金を支払う際にも支払明細書が発行されます。退職金に関する支払明細書は、一般的に「退職金(支払)明細書」と呼ばれます。

 

  • 配当金に関する支払明細書
     企業が株主に対して配当金を支払う場合も、支払明細書が作成されます。一般的に「配当金支払明細書」と呼ばれます。「支払通知書」としての機能を兼ねている場合もあります。

 

3,支払明細書と領収書・請求書の違い

 取引先との間で取り交わされる書類の中で、支払明細書と似ているものとして、領収書や請求書があります。いずれも支払いに関する書類ではありますが、支払明細書と領収書・請求書には大きな違いがあります。

 

  • 支払明細書と領収書の違い

 領収書は、代金の支払いを受けたことを証明するための書類です。つまり、代金の支払いを受けた(請求書を発行した)側が発行します。

 また、もう一つの違いは、「既に支払いが行われているかどうか」という点にあります。支払明細書を発行する段階では、まだ支払いは行われていません。支払義務が発生した際に、料金や取引の内訳を確認するのが支払明細書の目的です。

 これに対して、領収書は支払いが行われた後に発行されます。前述したとおり、領収書は支払いが実際に行われたことを証明する書類なのです。

 

  • 支払明細書と請求書の違い

 支払明細書が確認のために発行されるのに対して、請求書は代金を請求するために作成されます。この両者には、支払いの要求があるかどうかという点に違いがあります。

 支払明細書は、支払について取引内容や金額の相違がないかを確認する書類です。相手方に支払いを要求する書類ではありません。

一方の請求書は、期日や支払先の情報を記載し、代金の支払いを要求する文書です。請求書は、基本的には支払金額が確定した段階で発行されます。

 

  • 支払明細書・請求書・領収書の関係

 商取引が行われる場合、まず取引内容の確認や金額の確認のために支払明細書が支払い側から発行されます。

 受け取り側は、まず、内容や金額を確認します。そのうえで、支払期日や振込先が記載された請求書を作成し、取引の支払い側に対して料金の支払いを要求します。

 その後、料金の支払いが実行されたら、それを証明するために受け取り側が領収書を発行するというのが一般的な取引の流れとなります。
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4,支払明細書の書き方・記載項目

 支払明細書は、法的に作成義務のある書類ではありません。そのため、定められた様式がなく、会社規定に従う場合やネット上のテンプレートを参考に作成しても問題はありません。ただし、一般的には次のような項目を記載します。

 

  • 支払明細書の発行日時

 書類の作成日または発行日を記入します。日付を記載しておくことで、いつ発行した書類なのか明確になるので、トラブルの防止になります。

 

  • 相手方の企業名や担当部署名、氏名

 宛先を明確にするため、相手方の情報を記載します。

送付先が法人の場合、会社名を正式名称で記載し、担当部署や担当者名がわかれば一緒に記載します。送付先が個人の場合は、氏名を記載します。

 

  • 発行する側の企業名や担当部署名、氏名

 発行者の情報がなければ、支払明細書として扱うことができなくなりますので、必ず記載する必要があります。

 

  • 支払いの明細

 納品日、取引内容、取引数量、商品(サービス)名と数量・単価、商品(サービス)小計、消費税額(税率)を記載します。一目でわかるように表形式で作成し、金額の総合計も記載します。

 

  • 押印

 法的に必須ではありませんが、一般的に支払明細書には角印(会社印)を押印します。

押印があることで、書類が正式に発行されたものであることの証明となり、信用性が高まります。

 

  • 「支払明細書」と書類名を記載

 支払明細書は領収書や請求書と書式が似ている場合があり、混同されがちです。そのため、書類の最上部に「支払明細書」と明記しておくと便利です。

 

 以上が支払明細書の必須の記載項目ですが、法律上の強制はないので、記載項目を追加しても構いません。必要に応じて管理番号を記載するなど工夫の余地があります。。

 

5,まとめ

 支払明細書は法律で作成が義務付けられている書類ではないものの、取引内容や金額を明確にするという意味で、非常に重要なビジネス文書です。取引内容の確認における利便性も高く、取引先との関係強化のためにも積極的に活用すべき書類と言えます。

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