健康保険資格喪失証明書とは?記載内容や発行までの流れ
健康保険資格喪失証明書とは、退職などにより健康保険制度の資格を喪失した場合に、次に加入する医療保険制度に対して「いつ資格を喪失したか」という情報を証明するために発行される書類です。
1、健康保険資格喪失証明書とは
健康保険資格喪失証明書は、健康保険の被保険者資格を喪失したことを証明する書類です。
一般的に、健康保険には労働者やその家族などが加入しており、加入者が離職したなどの理由により、保険の被保険者資格を喪失することがあります。
我が国は国民皆保険制度を採用しているため、退職などで健康保険の加入資格を失った人は次に何らかの公的医療保険制度に加入しなければなりません。その手続きの際に必要となるのが健康保険資格喪失証明書です。
この証明書には、被保険者の氏名、被保険者番号、資格喪失の日付などが記載されます。また、証明書は通常、元の勤務先の会社から発行されます。
2、健康保険資格喪失証明書の記載内容
- ①事業所(依頼者が雇用されていた法人)の情報:
- 事業所の名称
- 事業所の住所
- 事業所の連絡先(電話番号、メールアドレスなど)
- ②被保険者の情報:
- 被保険者の氏名
- 被保険者の住所
- 被保険者の生年月日
- 被保険者番号(健康保険証に記載されている番号)
- ③資格喪失の詳細:
- 資格喪失の日付
- 資格喪失の原因(離職、解約、転職など)
- ④被扶養者に関する情報:
- 被扶養者の氏名
- 被扶養者の生年月日
- 扶養者の資格喪失日
- 扶養者の資格喪失の理由
- ⑤その他の重要な情報:
- 証明書の発行日付
- 証明書の有効期限(必要な場合)
以上は一般的な内容です。
なお、健康保険資格喪失証明書へ記載する資格の喪失日は、退職日ではなく退職日の翌日になりますので、注意する必要があります。
3、健康保険資格喪失証明書が必要な場合とは
健康保険資格喪失証明書が必要になるのは、主に次のような場面です。
①国民健康保険への加入
会社を退職し再就職しない場合、または、契約変更などで「会社には引き続き在職しているが健康保険制度の加入資格を失った」場合には、国民健康保険へ加入する必要があります。
健康保険資格喪失証明書は、保険の二重加入を防止するため及び「いつ資格を喪失したか」という情報を証明するために、居住する自治体に提出します。
②配偶者の扶養に入る手続き
家族が加入している社会保険の扶養に入る場合、「いつから被扶養者になったのか」という事実を証明することが必要になります。この事実証明するために、健康保険資格喪失証明書を提出することになります。
➂ 新しい就職先への提出
転職する場合、健康保険の二重加入を防ぐなどの目的で、転職先の会社で新しく入社する人に健康保険資格喪失証明書の提出を要求する場合があります。
4、健康保険資格喪失証明書を発行する手順
健康保険資格喪失証明書を発行するまでの流れは、次の通りです。
①依頼者から発行の依頼を受ける
まず、従業員から証明書発行の依頼を受けます。退職や死亡、雇用形態の変更、事業所の閉鎖や後期高齢者医療の被保険者になる日など、健康保険資格喪失証明書が必要な事情はいろいろあります。
②証明書のフォーマットを確認
健康保険資格喪失証明書の書式に決まりはありません。しかし、依頼者の提出先でフォーマットが指定されている場合はそのフォーマットを取得することが必要です。フォーマットの指定がない場合、任意の様式を作成しても問題ありません。
③証明書に必要事項を記入
上記②で確認した証明書のフォーマットに必要事項を記載します。法人印や代表者印の押印は原則不要ですが、上記②の指定フォーマットに押印表示がある場合は押印します。
④従業員に原本を渡し、控えを残す
記入が済んだ書類を従業員へ交付します。後日問い合わせが来た際に対応できるように、会社にも控えを残しておきます。
5、まとめ
従業員が退職などを理由に健康保険の資格を喪失する場合は、事業所は退職日の翌日から5日以内に、管轄の社会保険事務所や健康保険組合へ届け出る必要があります。
また、国民健康保険は退職した日の翌日から14日以内に手続きを済ませなければならないので、退職する場合、注意する必要があります。
監修者:有限会社 経理まるごと.com 代表税理士 渕上 肇