押さえておきたいフリーランスと会社員の10の違い 向き不向きについても解説

押さえておきたいフリーランスと会社員の10の違い 向き不向きについても解説

近年ではフリーランスという働き方も一般的になってきました。フリーランスになることを検討されている方も増えてきたのではないでしょうか。

ランサーズ株式会社の調査では、フリーランス人口は1,577万人であることがわかりました(『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』)。調査を開始した2015年と比較すると、人口は68.3%(640万人)増加しました。

 

フリーランスで成功している人もいれば、不成功の人もいます。

「フリーランスに興味はあるけど自分がフリーランス向いているか分からない」「正社員とフリーランスどちらに向いているか知りたい」などの声もあるでしょう。

 

本記事では、正社員とフリーランスの違いについて説明し、それぞれに向いている人・向いていない人についても解説していきます。

 

 

1.フリーランスとは

フリーランスとは、働き方を指します。特定の企業などに属さずに自分一人で仕事を契約する人のことを指します。求められるスキルなどを契約ごとに提供し、その対価として報酬を受け取るという働き方です。

フリーランスとは特定の会社や団体に所属せず、また、人を雇わずに自らの技能を活かして仕事を請け負う個人を指すと言えます。

フリーランスは、企業と雇用契約を結ぶのではなく、プロジェクトや案件ごとに業務委託契約を行います。

一般的にフリーランスには、Webライターやシステムエンジニア、Webデザイナーなどの専門職が多く、一度に複数の案件を引き受けて働くことも多いです。

 

2.フリーランスと会社員の違い

 

(1)契約形態

会社員は企業と雇用契約を結んでいることが大きな特徴です。労働基準法が適用され、最低賃金や労働時間の制限といった保障を受けられます。

 

その代わり、「使用者」と「労働者」という主従の関係があるため、仕事の内容や労働時間、休日の取り方などは会社の規定に従う必要があります。

 

一方でフリーランスは、企業と雇用契約を結ばない代わりに、プロジェクトごとに業務委託契約を結ぶのが一般的です。

 

業務委託契約は独立した事業者間の契約なので、仕事内容や場所を自由に決められます。その一方で、フリーランスは労働法の保護を受けることは出来ません。

 

(2)働き方の自由度

会社員の場合は、会社から与えられた業務を遂行していくのが一般的です。

会社員は、会社の就業規則に従う必要があり、出勤日数、勤務時間、勤務地、部署、仕事内容などは自分では自由に決めることができません。

基本的には会社側が決める条件に自分が合わせて働くことになります。

 

それに対してフリーランスは、基本的には自分の好きな時間や場所で仕事ができます。さらに、仕事の内容も、得意な分野やチャレンジしたい業務、高単価の案件など希望に合う案件を選んで担当できます。

ただし、フリーランスになれば、営業からバックオフィス業務(請求書処理や入出金管理、契約等)まで、多くの作業をひとりでこなす必要があります。

 

フリーランスは働き方を自分で決められるため、休日をいつとるかも自由に決められます。たとえば、平日に休んで土日に働くことも可能です。

 

一方、会社員の休日は会社の規定に則って決まります。自分で休む日程を決められる有給休暇もありますが、会社の状況によって希望するタイミングで休めない場合もあります。

会社員は、人事や上長などが決めた部署への配置となることが原則で、自分で部署を選べません。

フリーランスになれば、自分の好きなタイミングで、得意な領域やチャレンジしたい内容など希望に合う案件を選んで参画できます。

 

(3) 収入の違い

フリーランスは、案件ごとに報酬を得るため、収入は不安定になりがちです。案件が取れなければ、収入はゼロになってしまいます。しかし、定められた収入の上限があるわけではないので、スキルや実力、やる気次第で高収入を目指せます。

 

一方、会社員は毎月決まった給料が支払われるため、安定した収入が得られます。昇給やボーナスがある企業も多いですが、収入の上限はある程度決まっています。

 

(4)社会保障

フリーランスの場合は、会社員と比較して社会保障が手薄になります。

 

以下では、フリーランスと会社員でとくに補償の充実度が異なる4つの社会保障について解説しましょう。

 

  • 医療保険

会社員は、「健康保険」に加入します。

会社員が加入する健康保険は、保険料の半分を会社が負担してくれます。

また、被扶養者に対しての保険料負担は発生しません。

もし病気やケガで給料が支給されない場合、傷病手当金などの保障が受けられます。

フリーランスは、「国民健康保険」に加入します。フリーランスが加入する国民健康保険は、家族全体の収入によって保険料が決まる仕組みです。自分以外の家族も収入がある場合は、その分保険料が多く発生してしまいます。

また、健康保険と比べて、傷病手当など一部の保障がありません。

 

  • 年金保険

フリーランスは「国民年金」に、会社員は「厚生年金」に加入します。厚生年金は、国民年金にさらに上乗せ分がある保険制度です。

 

会社員が加入する厚生年金の場合、会社が保険料の半分を負担してくれるのがメリットです。厚生年金は、国民年金より手厚い保障が受けられるメリットもあります。

 

  • 雇用保険

会社員は、正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を問わず、「31日以上の雇用見込みがあり、1週間の所定労働時間が20時間以上」であれば、雇用保険に加入する義務があります。雇用保険は、労働者と事業主の双方が保険料を負担します。

雇用保険に加入すると、失業手当(基本手当)だけでなく、教育訓練の支援や育児休業給付など、さまざまな給付が受けられます。

 

しかし、フリーランスは企業に雇用されていないため、雇用保険に加入することも、失業手当を受給することもできません。

 

  • 労災保険

労災保険は、労働者が仕事中や通勤中に負傷したり、病気になったり、障害を負ったり、死亡した場合に、必要な補償を行う公的な保険制度です。

労災保険の適用者は、正社員やパート、アルバイトなど雇用形態を問わず、すべての労働者が対象になります。また、労災保険は、保険料は企業が全額負担してくれるため、会社員の負担はゼロです。

フリーランスは原則として対象外ですが、特別加入制度を利用することで労災保険に加入することも可能です。

 

(5)税金・社会保険の手続き

会社員の場合、基本的に税金や社会保険料は給料から天引きされます。副業で一定額の収入を超えていなければ、確定申告をする必要はなく、会社での年末調整で税金の処理は完結します。また、社会保険の手続きも会社がやってくれるので、自分で行う必要はありません。

 

一方でフリーランスの場合は、そもそも給料というものが無く、保険料は天引きされません。一部で源泉徴収される所得税もありますが、大半は自分で確定申告を行い、自分で所得税を納める必要があります。

また、フリーランスは健康保険や年金保険も自分で手続きをして、自分で納める必要があります。

 

 

(6)収入の安定性

会社員は、ほとんどが固定給です。そのため、収入が安定しているのが強みです。しかし、日本企業の人事評価制度では、収入が仕事量や責任の大きさに見合わない場合も多いと思われます。

フリーランスとして実力を発揮することができれば、働けば働いた分のお金を得られます。納得できる成果報酬を得られる可能性が高いのです。特に、残業を禁止している会社や残業代の出ない会社に勤めている場合は、フリーランスになる方が稼げる可能性があります。

 

しかし、案件を受注できなかった場合は収入がゼロになる可能性も否定できません。

 

(7)福利厚生

会社員は、会社に雇用されているため、家賃補助、育児休暇、健康診断などの福利厚生を受けられます。

 

しかし、個人事業主であるフリーランスは上記のような福利厚生の恩恵を受けられません。

 

8)人間関係

人間関係も、会社員につきまとう代表的な問題です。

組織の中には、上司や部下、同僚とさまざまな立場の人がおり、その人達と良好な関係を保ち続ける必要があります。上司には気を遣わなければならず、部下・後輩には育成・管理の務めがあり、同僚とは昇進の争いがあるなど、それぞれの関係において疲弊することもあるでしょう。

ランチや飲み会などの誘いも人間関係の都合で断りづらいことなども、ストレスとなりかねません。

 

フリーランスであれば、人間関係に悩まされにくくなる傾向があります。会社のような上下関係などが発生しないため、上司、先輩、同僚との人間関係に悩まされることもなくなります。

また、もし相性が悪い仕事相手がいたとしても、今後そのクライアントとは契約をしないという選択ができるため、嫌な関係が長引かないのも魅力だといえるでしょう。

 

会社員のように人間関係に煩わされないことがフリーランスのメリットですが、裏を返せば人との関わりが少ないといえます。

とくに業務連絡がネットで完結し、フルリモートで働ける場合は、人とのコミュニケーションを取る機会が極端に減りがちです。

そのため、信頼できる仲間・相談相手を見つけづらく、仕事の進め方や働き方などに関する悩みを1人で抱えてしまいやすい傾向にあるでしょう。フリーランスは孤独感を感じてしまいがちな点には、注意が必要です。

 

(9) 社会的な信用度

会社員は、法律によって雇用が保証されていることから収入が安定しているため社会的信用度が高いです。

一方、フリーランスは収入の安定性に欠けるため、社会的に見て信用度が低いとされています。ローンやクレジットカード、不動産などでの審査において、会社員よりも厳しく判定されることがあります。

 

(10)生活のリズム

フリーランスは自由な時間に働けることから、夜型の生活が基本となり、不規則な生活リズムになってしまう恐れがあります。規則正しい生活や、徹底したスケジュール管理を心がけると良いでしょう。

 

 

3.フリーランスに向いている人

自由に仕事をしたい人

フリーランスに向いているのは、会社のルールに縛られず独りで自由度の高い働き方をしたい人です。時間や場所にとらわれずに働きたいと考えているなら、会社員よりフリーランスのほうが向いています。

 

自己管理できる人

フリーランスは会社に縛られず自由に働けますが、その分、強制力がない中でも自律し、働いていける能力が必要です。フリーランスは一人で作業するため、自己管理を徹底する必要があります。クライアントからの信頼を落とさないように、仕事のスケジュールやタスクを自分で管理しないといけません。締め切りを守り、計画的に進められる人がフリーランスに向いています。

 

主体的に動ける人

周囲から指示を受けなくても、主体的に計画を立てて行動できる能力です。

指示待ちではなく、自分で仕事を見つけたり、学び続けたりできる人はフリーランスとして成功しやすいといえます。

 

高度な専門スキルがある人

また、豊富な実績や高度なスキルを活かして収入を増やしたいという人にもフリーランスがおすすめです。

 

コミュニケーション能力がある人

ライアントと適切なコミュニケーションを取れれば、長期的な信頼関係が築け、新たな仕事を依頼される可能性が高まります。特に、相手との意思疎通をスムーズにできる方は重宝されます。進捗状況の報告や確認など、こまめな報連相ができる人はフリーランスに向いている人です。こまめな報連相ができると、クライアントも安心でき信頼を得やすいからです。

 

また、フリーランスが仕事を受けるには、クライアントと接点を設け、営業や交渉も必要ですから、最低限の対人スキルは必須です。

 

柔軟に対応できる人

フリーランスは変化に富んだ環境で働くことが多いです。なので、柔軟性と適応力が求められます。

クライアントの急な要求にも素早く対応する能力も必要です。

 

リスク抵抗力のある人
フリーランスは、収入が不安定になりがちなため、精神的にタフでリスクを受け入れられる人が向いています。また、フリーランスは孤独なので、一人でも心理的に強く、自己モチベーションを維持できる人に向いています。

 

4.会社員に向いている人

 

経済的・精神的に安定志向の人

会社員に向いているのは、毎月一定の収入を継続的に得たいと考えている人です。福利厚生や研修などの制度をうまく活用したいという人も、会社員が適しています。

毎月決まった給料がもらえ、福利厚生や社会保険がしっかりしているのが会社員のメリットです。会社員は、たとえ仕事の出来が悪くても解雇されることはなく、生活を保障されていますから、収入の安定性を求める人は、会社員に向いています。

 

チームワークが得意な人・組織の一員として割り切れる人

会社では上司や同僚と協力して仕事を進めることが多いので、周囲と協調しながら働ける人は、職場でストレスなく働けます。

上司や会社の理不尽な対応や、無駄と思えるような会議やルールにもそれはそれと割り切って従える人は会社員に向きます。

組織の一員として働く場合、自分に選ぶ権利がないことが沢山あります。

自分の思惑通りにいかないことがあっても、やる気を落とすことなく働ける人にはぴったりです。

 

与えられた仕事でも苦にならない人

会社員は必ず職務を与えられます。そのため自分がやりたい仕事にこだわる人にとっては、モチベーションや積極性が失われてしまうこともあります。

逆に、与えられた役割が仮に自分が苦手な分野でも、それはそれとして割り切って取り組める人には、会社員はぴったりの働き方です。

ワークライフバランスを重視する人

フリーランスよりも休日や有給休暇が確保しやすいので、プライベートの時間をしっかり取りたい人には適した働き方です。

堅実な人

会社は組織で仕事をしますので、スタンドプレーや独断専行型の人は不向きです。むしろ、計画的で物事をしっかり考えてから決断し、リスクを最小限に抑え慎重に行動するタイプの人が向いています。手堅く確実に物事を進め、衝動的な行動をあまりしないことが求められます。

 

6.まとめ

フリーランスと会社員にはそれぞれ特徴があり、どちらが良いかは個人の価値観やライフスタイルによって異なります。安定を重視するなら会社員、自由と高収入を目指すならフリーランスが合っているかもしれません。しかし、向き不向きはその人の性格による部分が大きいです。たとえば、堅実な人にはフリーランスより会社員が向いている傾向にあります。

ただし、最近では「副業」や「パラレルワーク」など、フリーランスと会社員のメリットを組み合わせた働き方も増えています。いきなり会社員を辞めてフリーランスになるのではなく、まずは副業やパラレルワークで試してみるのも一つの方法ではないでしょうか。