ゼロから学ぶ経理入門~その2~ 簿記とは? 必要な理由と勉強の仕方も解説します
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目次
簿記とは 必要な理由と勉強の仕方も解説します
こんにちは。
今回は、経理を行う上で必須の知識である「簿記」について解説します。とはいえ、「簿記」という言葉を聞いたことがあっても、「難しそう」「経理の人だけが使うもの」と思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、簿記はお金の流れを整理し、管理するための便利なルールであり、ビジネスだけでなく日常生活にも役立ちます。
では、簿記とは具体的にどのようなものなのか?初心者にもわかりやすく解説していきます!
1.簿記とは
簿記(ぼき)とは帳簿記入(ちょうぼきにゅう)の略で、お金や物の流れを帳簿に記録し、会社や個人の、財産や収支を整理していくことを指します。例えば、会社が商品を販売したり、経費を支払ったりするたびに、その取引内容を帳簿に記入します。フリーランスや個人事業主の収支管理にも使われていて、この記録を通じて会社の財産や利益、負債などを明確に把握することができます。
例えば、あなたがコンビニを経営しているとします。
- 仕入れ(おにぎりを100円で仕入れる)
- 販売(お客さんに150円で売る)
- 経費(電気代・人件費・家賃などを支払う)
これらの取引を記録することで、「今、会社にはどれくらいのお金や財産があるのか?」「利益は出ているのか?」を正確に把握できるようになります。
簿記の記録は、企業の経営管理だけでなく、税金の計算や投資の判断にも役立つため、とても重要なスキルといえます。
(1)簿記の役割とは?
簿記には、主に次の3つの役割があります。
① お金の流れを正しく記録する
会社では、日々たくさんの取引が発生します。例えば、売上があったり、仕入れをしたり、従業員に給料を支払ったり…。こうした取引を、正確に記録するのが簿記の基本です。
② 会社の財産や利益を正しく把握する
「今、会社にはどれくらいのお金があるのか?」「今月は利益が出たのか?赤字なのか?」といった経営状況を把握するために、簿記を使ってお金の流れを整理します。
③ 税金を計算するための基礎資料を作る
企業は、法人税や消費税などを納める必要があります。そのためには、売上や経費を正しく記録し、利益を計算することが重要です。簿記の記録があれば、正しい納税額を計算することができます。
(2)仕事で役立つ!簿記のスキルが活かせる場面
① 経理・会計の仕事に必須!
簿記は、経理・会計の仕事をする上で欠かせない知識です。企業では毎日の取引を記録し、月次決算や年次決算を行うため、正しい仕訳や財務諸表の作成が求められます。簿記の知識があれば、企業の経理担当者として活躍できるだけでなく、キャリアアップにもつながります。
② 事務職・営業職でも重宝される
「経理の仕事をしないから簿記は関係ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、一般事務や営業職でも、会社のお金の流れを理解することは大切です。例えば、請求書の処理や売上・経費の管理をするときに、簿記の知識があればスムーズに業務を進めることができます。
③ 独立・起業する人にも役立つ!
会社を経営する場合、収益と経費を正しく管理しなければ、健全な経営ができません。例えば、仕入れや売上の管理、税金の計算、資金繰りなど、簿記の知識があれば、会社の財務状況を把握し、適切な経営判断ができるようになります。
2.簿記3級とは
簿記3級は、簿記の入門編として非常に重要で、経理やお金の管理をするための基礎知識を学べる資格です。簿記3級に合格すれば、経理の基本を押さえられるだけでなく、仕訳や財務諸表の作成といったスキルは、個人の資産管理やビジネススキル向上にも役立ちます。
(1)簿記3級とは?
簿記3級は、主に小規模な会社や個人事業主の取引を記録・管理するための知識を学ぶ資格です。
【試験主催】日本商工会議所(日商簿記検定試験)
【レベル感】初心者向け(経理や会計の知識がなくてもOK)
【試験範囲】会社の日常的な取引を仕訳して帳簿に記録し、財務諸表(損益計算書・貸借対照表)を作成できる力を学ぶ。
(2)学ぶ内容
簿記3級では、以下の内容を中心に学びます。
①簿記の基本的な仕組み
- 複式簿記:取引を「借方」と「貸方」の両方に記録する方法
【例】商品を現金で販売(仕訳)
借方(左):現金 10,000円 貸方(右):売上 10,000円
- 資産・負債・純資産:お金や財産の状態を把握するために重要
資産:現金、預金、建物、商品など 負債:借入金、買掛金など 純資産:資産-負債
② 勘定科目の理解
取引を分類するための勘定科目の具体例としては以下があります。
資産:現金、預金、売掛金、商品
負債:買掛金、借入金
費用:交通費、交際費、広告宣伝費
収益:売上、受取手数料
③帳簿の作成
簿記3級では、以下の帳簿を作成します。
- 【仕訳帳】取引を記録する最初の帳簿
- 【総勘定元帳】仕訳帳の情報を整理して、勘定科目ごとにまとめた帳簿。
④財務諸表の作成
最終的に、会社のお金の状況を示す以下の書類を作成します。
貸借対照表(B/S:Balance Sheet)
→ 資産、負債、純資産をまとめた表。会社の「財務状況」を示す。
損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)
→ 収益と費用を計算し、会社の「利益」を示す。
(3)試験の概要
【試験形式】筆記試験
【出題範囲】仕訳問題、帳簿作成、財務諸表作成など。
【試験時間】1時間
【合格基準】100点満点中70点以上
(4)簿記3級を取得すると得られるメリット
- 経理業務の基礎力がつく
→会社の経理業務や家計管理に役立ちます。 - 転職や就職に有利
→簿記3級を持っているだけで、事務職や経理職への応募時にアピールポイントになります。 - ビジネススキルの向上
→財務状況を理解できるようになり、経営やお金の流れに詳しくなります。
(5)簿記3級の次に進む道
日商簿記3級は、経理初心者向けの資格として人気があり、基礎を学ぶのに最適です。しかし、さらに簿記2級以上を取得すると、より専門的な知識が身につき、企業からの評価も高まります。簿記3級に合格したら、次は簿記2級を目指すのがおすすめです。
3.簿記の勉強方法は?初心者におすすめの学習法と資格
(1) 簿記の資格にはどんな種類がある?
簿記の資格はいくつかありますが、最も知名度が高く、人気なのが「日商簿記(日本商工会議所主催)」です。
①日商簿記のレベルと難易度
資格 | 難易度 | 学習時間の目安 | 内容 |
簿記3級 | ★☆☆☆☆(初心者向け) | 50~100時間 | 小規模な企業・個人事業主向けの基礎知識 |
簿記2級 | ★★★☆☆(中級者向け) | 150~300時間 | 中小企業の経理業務に必要な知識 |
簿記1級 | ★★★★★(上級者向け) | 500時間以上 | 大企業の財務・管理会計の専門知識 |
②どの級から受けるべき?
・ 初心者や経理未経験者は「簿記3級」からスタート
・ 経理職を目指すなら「簿記2級」を目標にするのがおすすめ
・ 会計士や税理士を目指すなら「簿記1級」も視野に入れる
日商簿記の試験は、毎年2月・6月・11月に行われており、3級と2級はネット試験もあります。
(2)初心者におすすめの簿記の勉強方法
① 簿記の基礎を理解する(テキストで学習)
まずは、簿記の基本的な仕組みを理解しましょう。初心者向けのテキストを1冊選び、ざっと読んでみることが大切です。
簿記3級向けのテキストを一冊用意して、基礎を理解しましょう。おすすめテキストには以下があります。
★初心者向けで、楽しく学びたいなら。 → 「スッキリわかる 日商簿記3級」(TAC出版)
・図解やイラストが多く、初学者でも理解しやすい。
・物語形式で楽しく学べる
・実践的な問題も収録されている
★バランスよく学びたいなら → 「みんなが欲しかった! 簿記の教科書日商3級」(TAC出版)
・シンプルで分かりやすい解説
・図や表が豊富で、視覚的に理解しやすい。
・別売りの問題集とセットで学べる
★試験対策を重視したいなら → 「うかる! 簿記3級」(日本経済新聞出版社)
・日経が出版している信頼性の高い内容
・本試験を意識した構成で、実践的な学習が可能。
・予想問題が豊富
【ポイント】
テキストは1冊に絞り、何度も繰り返し読むことが大切です。自分の学習スタイルに合ったテキストを選んで、合格を目指しましょう!
② 仕訳の練習をする(問題集を解く)
簿記の基本は「仕訳(しわけ)」を正しくできるようになることです。仕訳とは、取引を「借方」と「貸方」に分けて記録することで、これをマスターすれば簿記の理解が一気に深まります。
〈おすすめの問題集〉
「みんなが欲しかった! 簿記の問題集日商3級」(TAC出版)
【ポイント】テキストを読んだら、すぐに問題を解いてアウトプットする!
③ 予想問題を解く(試験対策)
試験形式に慣れるために、模擬試験を解いて、本番と同じ環境で練習することが重要です。
〈おすすめの試験対策本〉
「合格するための本試験問題集 日商簿記3級」(TAC出版)
【ポイント】本番前に最低3回分は模擬試験を解き、時間配分に慣れておきましょう!
④ YouTubeやオンライン講座を活用する
テキストだけでは理解しにくい場合は、動画講義を活用すると分かりやすく学べます。
〈 おすすめのYouTubeチャンネル〉
・ 「CPA会計学院」 → 簿記3級・2級の無料講義が充実
・ 「簿記系YouTuberふくしままさゆき」 → 実務に役立つ解説が多い
〈 おすすめのオンライン講座〉
・ スタディング → スマホでスキマ時間に学習可能
・ クレアール → 初心者向けに基礎から解説
【ポイント】動画講義を活用すると、初心者でも理解しやすくなります。
(3)簿記試験合格のための勉強スケジュール
☆ 1ヶ月目:テキストを読み、仕訳の基礎を理解する。(1日30分~1時間)
☆ 2ヶ月目:問題集を解いて、仕訳に慣れる。(1日1~2時間)
☆ 3ヶ月目:過去問・模擬試験を解き、本番に備える。(1日2時間)
3ヶ月あれば、簿記3級の合格は十分に可能です!
(4)簿記を学んで、お金の知識を身につけよう!
簿記を学ぶことで、経理・会計の知識が身につき、ビジネスや日常生活に役立ちます。
① 初心者は日商簿記3級からスタート!
② テキスト+問題集+過去問の3ステップで勉強する!
③ YouTubeやオンライン講座を活用すると理解しやすい!
④ 1日30分~1時間の勉強で、3ヶ月で合格を目指そう!
簿記の資格を取得すれば、就職や転職にも有利になり、お金の管理能力が向上します。まずは、テキストを1冊手に取って、今日から勉強を始めてみませんか?
4.おわりに
簿記は、経理や会計の仕事に欠かせないスキルであるだけでなく、日常生活やビジネス全般にも役立つ知識です。本記事では、簿記の基本的な仕組みから、その活用方法、さらには資格取得のメリットや勉強法について詳しく解説しました。
簿記の主な役割は、①お金の流れを正しく記録し、②会社や個人の財産状況を把握し、③税金の計算の基礎資料を作ることです。特に、日商簿記3級は初心者向けの資格で、仕訳や財務諸表の作成を学ぶことで、企業の経理業務だけでなく、個人の資産管理にも応用できます。
簿記を学ぶことで、経理・会計の仕事に就きやすくなり、事務職や営業職でも業務の効率が向上します。また、独立・起業を考えている人にとっても、正しい財務管理を行うために不可欠な知識です。
初心者が簿記3級に合格するためには、テキストを使って基礎を学び、仕訳の練習を積み重ね、模擬試験を解いて試験形式に慣れることが重要です。さらに、YouTubeやオンライン講座を活用すると、より理解しやすくなります。1日30分~1時間の勉強を続ければ、3ヶ月で合格を目指すことも可能です。
簿記を学ぶことは、単なる資格取得にとどまらず、お金の管理能力を高め、将来のキャリアにも大きな影響を与えます。まずは、自分に合った勉強方法を見つけて、今日から簿記の学習を始めてみましょう!