支払調書とは 支払調書の提出義務があるケースについて解説します

目次
1.支払調書とは
支払調書とは、例えば企業がフリーランスの方や個人事業主に業務を発注して報酬を支払った場合に、報酬等を支払った者が支払った金額や内容を記載し作成する書類のことです。支払調書は、企業や個人事業主が、特定の支払いに関して税務署へ報告するための書類です。一定額以上の報酬や料金を支払った場合に、翌年1月31日までに所轄税務署長へ提出する義務があります、
国税庁が「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」で示している支払調書は次の4種類です。
① 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
② 不動産の使用料等の支払調書
③ 不動産等の譲受けの対価の支払調書
④ 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
上記の4種類のうち②③④の3つは不動産を取り扱った事業者を対象に提出が義務付けられている支払調書です。多くの事業者において、支払調書の提出が求められることが想定されるのは①の「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」になります。ここでは、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書について解説します。
2.支払調書の提出義務があるケース(提出範囲)
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」は、フリーランスや個人事業主への支払いで、一定額以上の場合に作成されます。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲は、具体的には次のように定められています。
(1)外交員、ホステス等の報酬が年間で50万円を超える場合
【対象】外交員、集金人、電力量計の検針人およびプロボクサー等の報酬・料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金
【提出条件】同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
(2)馬主に支払う競馬の賞金が75万円を超える場合
【対象】馬主に支払う競馬の賞金
【提出条件】その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払を受けた者に係るその年中のすべての支払金額
(3)プロ野球の選手などに支払う報酬が年間で5万円を超える場合
【対象】プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金
【提出条件】その年中の同一人に対する支払金額の合計額が50,000円を超えるもの
(4)税理士等に対する報酬、原稿料や講演料等報酬が年間で5万円を超える場合
【対象】弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等
【提出条件】同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50,000円を超えるもの
(5)診療報酬について、年間の支払合計額が50万円を超えるもの
【対象】社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
【提出条件】同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
提出範囲の金額については、消費税および地方消費税の額を含めて判断しますが、消費税および地方消費税の額が明確に区分されている場合には、その額を含めないで判断しても差し支えありません。
なお、法人(人格のない社団等を含みます。)に支払われる報酬・料金等で源泉徴収の対象とならないものや支払金額が源泉徴収の限度額以下であるため源泉徴収をしていない報酬・料金等についても、支払調書の提出範囲に該当する場合には支払調書を提出する必要があります
【国税庁参照サイト】
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7431.htm
3.支払調書の記載事項
支払調書に記載されている項目は種類ごとに異なります。
(1)報酬、料金、契約金および賞金に関する支払調書
支払を受ける者・区分・細目・支払金額・源泉徴収税額・摘要・支払者
(2)不動産の使用料などに関する支払調書
支払を受ける者・区分・物件の所在地・細目・計算の基礎・支払金額・摘要・支払者
(3)不動産等の譲受の対価の支払調書
支払を受ける者・物件の種類・物件の所在地・細目・数量・取得年月日・支払金額・摘要・支払者
(4)不動産等の売買または貸付のあっせん手数料の支払調書
支払を受ける者・区分・支払金額・あっせんに係る不動産等・摘要・支払者
4.税務署への提出
支払調書の提出期限は、原則として支払が確定した年の翌年の1月31日までです。
ただし、支払調書の提出時には、支払調書だけではなく給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表も添付する必要があります。
なお、法律上、支払調書を提出する義務がある相手先は税務署です。支払先に交付しなければならない義務はありません。したがって、支払調書を支払先に交付するかどうかは任意です。
また、支払先側で、確定申告書に支払調書を添付する義務も法律上はありません。
5.支払調書の提出が求められる理由
税務署は、報酬を支払う側(支払調書発行義務者)から支払調書の提出を受けることで、報酬が誰から誰にいくら支払われたのかを把握できます。報酬を受け取った側の申告書の内容と、支払調書の内容とを突き合わせることで、申告内容が正しいかを確認しているのです。
また、源泉徴収対象取引である場合には、正しく源泉徴収がなされているかという点も重要になります。源泉徴収対象取引であるのに、正しく源泉徴収がなされていなければ、源泉徴収義務違反として、支払者に罰則が課せられる場合があります。